コショウ、リンゴ、コウシン

黒コショウクッキーというヤツを食った。うまかったが、うまかったのはクッキーの生地にほどよい甘さとバターの風味がきいているからであり、コショウのせいでうまいわけではなかった。つまりクッキーの生地がうまいから、黒コショウクッキーがうまかったわけであり、黒コショウのせいではない。さらにいうならば、黒コショウがない方がうまかったと思う。つまり、黒コショウとクッキーの組み合わせはよくないのではないか。

さて、この時期に入り、副業でありリンゴ販売仲介の仕事がポツポツ入ってきた。今年は大体300個くらい売れそうな感じである。

で、今日の小説。

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「機動生命体」

 

#0000,0001,1111
張り巡らせた根から、超高圧のガスを吹き出せばこいつは終わりだ。
根は十分に敵の体内に行き渡っている。敵の頬から根の先端が突き出てきた。
「死ね」
そして、止めを誘うとした時、私はあるものを見つけ、戸惑う。
涙。
目の前の少年が、助けを乞うような瞳で、私を見ていた。
この涙はフェイクか、真実か。
機動生命体の開発が頓挫した一番の原因は、兵器としての最大の特徴である超高速の再生能力の実現ではなく、兵器の精神面メンタルを安定させる事が困難だったからだという。
人間にとって都合のいい兵器に仕立てあげるには、多々問題があるという。
私が非情な選択を瞬時にとれないのも、そのせいなのかもしれない。

#0000,0010,0000
「クソ……」
私は少年から肋骨を引き抜く。ワイヤーを接続した肩甲骨を後方に射出し、アンカーとして打ち込む。ブレーキをかけて減速する。だまされているのかもしれないが、別にかまわない。これが罠だとしたら、どうせ私が死ぬだけなのだから。
安定している床に接近すると同時に、私は、抱き合ってもつれ合っている少年をふりほどき、着地した。
少年は全身から煙をあげながら立ち上がる。機動生命体と同様の損傷回復が始まっている。
「一体、お前は何なんだ?」
「う……ぐぁ……」
普通の人間だったら確実に死んでいる損傷を受け、少年は苦しんでいる。
「た……助けて……」

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