バイク漫画『キリン』を読み返す。最初の1~4巻の話だ。いわゆる「Point Of No Return」である。主人公キリンは38歳のおっさんにして、大馬鹿でクズ野郎だ。控えめに言ってもクズ野郎だ。つまりどう転んでもクズ野郎だ。そしてバイク乗りだ。
『本質的には 自分のことしか 興味が持てない人間だからだ』
言い当てられてしまった、という気分に近い。
いつの間にかクズ野郎のキリンに感情移入してしまっている自分にも気づく。共感とも自己嫌悪ともつかない、苦い感情が口の中に広がってくる。
さて、本日の更新である。
まとめはこちらから。
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「ユニ、あれがプロジェリアなの?」
「ここではアレと私たちしか動いていないから、そうなんでしょ」
濃度の高いプレジェリオン・フィールドの中ではどのような物理法則が働くのか未知数だ。だから音波含め、僚機と通信が成立するかはわからなかった。だが、支障なく音声での会話が可能なようだ。
「アレが本当に生き物なの?」
球体の端々を無造作に切り落としたような十二面体が連なりあい、切り立った枯れ木のように突っ立っている。
十二面体の化物が、動きだす。足を踏み出す。足は、人間と同様に二本あるようだ。
「プロジェリアが生き物かどうかなんて、分かるもんか」
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「歩いてる……」
アリサはプロジェリアの動きに嫌悪感をあらわにする。
「腕も二本あって、大きい頭があって……まるで、人間みたいな……」
見ていて気持ちの良いものではないのは確かだ。
私は目をすぼめる。右眼球が崩壊し、溶けた硝子体が眼窩から零れ落ち、水晶体が砕けて砂にかわる。
一秒で爪が数枚剥げ、砂になる。アリサの髪もまた、千切れては再生し、千切れては再生する。
全ては強い風に吹かれ、風化していく。
風上に立つ、プロジェリアは、人間のような足取りで、少しずつ近づいてくる。
プロジェリアに知能はあるのだろうか?
今日はこんな感じ。
おっさんにして大馬鹿でクズ野郎のバイク乗りである俺が来ましたよ。
東本昌平の漫画って正直、あまり好きでなくてキリンも未読なんですが、読んでみようかしら。。
黒電話 さん
コメントありがとうございます。バイク乗りはみんな少なからず自分勝手でクズなものですが、キリンは度を越しています。真っ昼間の東名高速を200km/h超でレースなんて常軌を逸しています。
とはいえ、一人も味方も理解者もいないままただ己の意地だけで突っ走るキリンの姿を見ていると妙に共感してしまったりするのです。
でも妙に女にモテるところはむかつきます。
そう、東本昌平の漫画は、速くなきゃバイクじゃねえっていうスピード至上主義臭がプンプンするのと、やたらと女を絡めたがる話がどうも合わなくて。とは言っても、本屋でRIDEを見かけるとつい立ち読みしちゃいますが。
ちなみに新しい小説は、やはり不確定性原理がモチーフですか??
黒電話 さん
私も話の作り方はあんまし好きではないです。キリンはポエムが多すぎて「うわぁ……」て思うところも多々あり。
ただ、東本先生のバイクの絵は好きですね。自分のバイクがRIDEの表紙になってた時は買ってしまいました。
新しい小説は熱力学と分子生物学的な話にしたいなー、と思ってますが、正直まだ何も考えてません。