未知の新元素って

シン・ゴジラの考察を延々と脳内で繰り返している。映画の事象をおおむね説明できると思っているが、一つ調べなければいけない事がある。
それは未知の新元素とはどのような性質を持ち得るのか? という事だ。
半減期20日程度で、かつ核エネルギーとして利用可能な新元素は成立しうるのか? この部分についてはかなり知見が不足しており、勉強しなければならない。

一日空いたが今日の更新。
あいた分、やや多め。
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「機動生命体」

#0000,0010,0101
体の一部を四次元に没入させ、三次元の世界に切れ目をいれるように干渉しているのではないだろうか。
これはただの予想、というよりも私の妄想に近い。人間には四次元の世界を観測する事はできないから実証は不可能だ。そして、もし、プロジェリアが三次元よりも高次元の空間を行き来する事ができる存在だということは……
「ギィアアァァァァァッ!!」
突然の叫び声で私の意識は中断させられる。
振り返ると、少年の胸のあたりに灰色の帯が食い込んでいる。
「そうか、四次元から干渉しているから、他の個体の老場プロジェリオン・フィールドの影響を受けずに浸食する事ができるのか……」
七本脚のプロジェリアが四次元領域からフィールドを展開したのは、少年を攻撃するためだった。

#0000,0010,0110
だが、そこから先は分からない事が多すぎた。なぜ、プロジェリアがプロジェリアを攻撃するのか? 確かに地球上の生き物も同族同士で食料などのリソースを巡って争いあうことはある。
プロジェリアも生存競争からは逃れられないのかもしれない。
私は戸惑う。どうすればいいのか。いや、戸惑う理由はない。七本脚の個体も、少年も、どちらもプロジェリアであり、敵なのだ。争っているうちにまとめて倒してしまえばいい。
なぜ迷っているのか。
少年が苦しんでいる。
胸にささったプロジェリオン・フィールドの帯。刺さった箇所を中心にエントロピーの増大が加速し、無秩序化が始まっていく。
体を構成する組織が老化し、ボロボロと崩れていく。

#0000,0010,0111
不思議な感情だった。少年の助けを乞うような眼も、純粋な怒りをたたえた眼も、脳裏から離れない。
理屈で考えれば、少年の表情はそうふるまっているだけの偽物かもしれず、ただ単に私の注意をひきつけるための擬態なのかもしれない。
ただ、胸が苦しかった。
実験室プラントの中で開発され続けた私は、今まで感情らしきものをぶつけられたことがない。誰かが苦しんでいるのをこんな間近で見たこともない。
だから、私は七本足のプロジェリアへ向かって射撃を開始した。
骨格の一部をガス圧で射出する。有効な攻撃だとは思わない。質量は軽いし、プロジェリオン・フィールドですぐに分解されてしまう。それでも私は実行にうつした。

#0000,0010,1000
プロジェリアの注意がそれたのか、少年の胸に突き刺さっている灰色の帯が消失した。それと同時にプロジェリアの消えた脚が現れ、再構成されていく。
私は考える。目の前のプロジェリアは次元の壁を越えてより強力なプロジェリオン・フィールドを展開してくる。四次元に没入させることができる脚は何本なのか。一本だけなのか二本までなのか 、もっと沢山展開できるのか。一本だけならいいが二本以上展開されれば対応できない。四次元からという事は連続する時間を超えてくるわけだから、よけることすら不可能なはずだ。
私の主な動力源は原子転換炉だ。体の中を“帯”で破壊されれば、損傷回復ができず、増大加速するエントロピーに追いつかれる。
あの脚が消える前に、止めをさすしかない。

#0000,0010,1001
プロジェリアが脚を“開き”始めるのと、私が跳躍するのはほぼ同時だった。
私の爪先には巨大なスパイクが生え、足元の床を破壊しながら前進する。前進しながら私は変態する。体を前へと細長く、より高速に攻撃するために、形状を変えた。
瞬時に人の肉眼では捉えられない速度域に達する。おそらく、私の体をスリットカメラでおさめれば、大型のネコ科の獣のような姿をしているはずだ。私はプロジェリアにワイヤーを打ち込む。衝突エネルギーを反発力で殺さないためだ。両手を石のように結合させ、ハンマー状にして叩きつける。
プロジェリアが、正十二面体が、粘土のようにひしゃげる。
強度は分かった、このまま行く。
プロジェリアは脚を開くのをやめていない。まだ生きているのだ。
私の恒常性管理システム(HSMS)が警告をだす。右足膝関節内の圧力異常。関節内の潤滑液が気化・沸騰しているのだ。
私は右膝の関節ユニットを排出し、強制的に予備関節へと換装する。

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