コウシン

なんか今日は語りたい事もないので小説だけを乗っけていく。

アーカイブはこちら。
「機動生命体」

 

#0000,0000,1110
砕け散る三角の輪。連なりがほどけ、輪の一つ一つもまた崩壊して砂に還る。手ごたえは感じたが、プロジェリアの十二面体に傷はつかない。プロジェリアについては分からないことだらけだ。物理的な打撃が効果があるのかすら分からない。
もう一撃を食らわせば多少はダメージを与えられるのか分からない。分からないままに、顕微鏡を覗き込むような気持ちで、私の体から隆起した塊を再度叩きつける。プロジェリアが、微かによろめいたように見えた。
一体プロジェリアとはなんなのか?
アリサも攻撃に参加する。アリサ描く身体イメージは私のものとは異なるようだ。トラス構造なのは同様だが、私のような無骨な塊ではない。アリサの背中が裂け、そこから先端が鋭利に尖った梁が、牙のようにプロジェリアを襲う。

#0000,0000,1111
アリサの牙はプロジェリアを捉える。十二面体の表面を突き破り、ひび割れる。
「やった!」
アリサが興奮した声で叫ぶ。
私は別の事を考えていた。
プロジェリアがエントロピー加速によりあらゆる物質の崩壊を早めているという仮説が正しいとすれば、プロジェリアは一体何のためにエントロピー加速をしているのだろうか。
学会では何らかの活動エネルギーを得ているのではないかという予想が主流だが、エントロピー増大により得られるエネルギーとは一体なんなのだろう? エントロピーの増大とはあくまで熱と物質の拡散であり、エネルギーの総量は変わらないはずだ。
熱湯の中に入れた氷は溶けて水に変わり、湯と混じり常温になる。常温の水と、熱湯と氷を合わせたエネルギーは等価で、変化はない。
プロジェリアは一体何をしているのか。
アリサの攻撃でプロジェリアの体が崩壊していくに従い、私はある仮説を思いつく。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

Protected with IP Blacklist CloudIP Blacklist Cloud