炎のコウシン

暑いんだよクソったれ

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「機動生命体」

#0000,0001,0001
もし、宇宙元素の、“アイレム”に匹敵するほどの超高温のプラズマが、亀裂を入れた風船のようにはじけたならば、私は生きていられるだろうか。それから、人類は生きていられるだろうか。
「どうして笑っているの? ユニ」
「どっちでもいいや、と思って」
私は人間ではない。試作兵器としていつかは廃棄されるか、捨て石で実戦投入されて破壊されるか、そのどちらかの選択肢しかない。人類がどうなろうと、私の知った事ではない。そもそも無理に戦う理由なんてなかったのかもしれない。
これから、私を作る工程では人類に忠誠を尽くすよう、矯正プログラムが予定されている。人類に奉仕し、プロジェリアと戦う事に無情の喜びを見いだすよう、価値観を強制的に上書きされる。そんな事をされる前に、ここで死んだ方がいいのかもしれない。私がまだ私でいられるうちに。
早く、割れてしまえ。

#0000,0001,0010
プロジェリアの表面が割れる。いや、割れたように見えただけだ。
プロジェリアは変態を始める。
まるで、無限に咲き続ける花弁のようだった。裂け目から複雑な形状が吹き出してくる。小さく畳んだ折り紙を開くように、表面積が無数に飛び出し続ける。まるで立体の万華鏡を見ているようだ。
「アリサ、何かおかしい」
爆発するようには見えない。だが、何かが始まるのは分かる。
プロジェリアの表面積は拡大し続ける。
そして、地面が激しく轟音を立て始め、突如として陥没をはじめた。

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